こんにちは、あまのやの古島です。
前回【子どもの着物~お宮参り編~】をお話しさせていただきましたが、今回は~七五三編~をお話しさせていただきます。
はじめに
十月頃から神社や写真館などの近くを通ると、七五三の着物を着たご家族に出会うことがありますよね!
着物姿のお子さまを見ると、可愛いらしいと思うのと同時に、三歳・五歳・七歳のお子さまの差は歴然で、子どもの成長に驚かされるという方も多いのではないでしょうか。
今回はその七五三の由来や着物にまつわる情報をご紹介いたします!
七五三の由来
まずは、七五三の由来からお話ししていきたいと思います。
色々諸説ありますが、昔は子どもの死亡率が高く、健康を願い、また成長を感謝しお祝いしたことが七五三の由来とされています。
その起源とされているのは、
三歳前後に行われた「髪置(かみおき)」
五歳前後に行われた「袴着(はかまぎ)」
七歳前後に行われた「帯解(おびとき)」
という平安時代から室町時代にかけての子どもの儀式にあります。
髪置
平安時代に、胎内にあったものは不浄であるという考えから、「六日剃(むいかぞり)」という、生後六日目に産毛を剃る儀式を行っていました。
「まるぞりは三年続けると子が丈夫になる」との言い伝えもあり、三歳頃までは丸坊主で育てていました。
これは頭を清潔に保てば病気の予防となり、また健康な髪が生えてくると信じられていたためです。
子どもが無事に三歳になると、真綿でできた白い綿帽子を頭に置く「髪置」の儀式を行ってから、髪を伸ばし始めます。
綿帽子には髪が白くなるまで長生きするようにという願いが込められています。
袴着
平安時代より男女ともに四、五歳になると初めて袴を身に付ける「袴着」(着袴(ちゃっこ))が行われていました。
それまでは着なかった袴をはくということで、大人に近づく重要な儀式となります。
江戸時代に男の子のみの儀式となり、五歳男児の行事となりました。
やがて羽織袴は男性の正装として確立します。
「着袴(ちゃっこ)の儀」や「髪削(三歳で伸ばし始めた髪を鋏で切り揃える儀式)」をルーツとする「深曾木(ふかそぎ)の儀」は、現代の皇室でも行われています。
深曾木の儀とは、数え年で五歳を迎えた男児が、着袴の儀を行ってから、吉方に向く碁盤の上から飛び降りる儀式です。
帯解
乳幼児の着物は付け紐で結び、帯はしませんでした。
帯をするときに行うのが「帯解の儀」です。
五歳の袴着同様、大人に近づくための重要な儀式となります。
七五三のお参り時期
七五三は諸説ありますが、旧暦の十一月が収穫を感謝する時期であることから、合わせて子どもの成長を感謝する儀式になったと考えられています。
また、五代将軍徳川綱吉が長男徳松のための健康祈願を十一月十五日に行ったことからこの日に定まったと言われています。
数え年と満年齢
「数え年」とは生まれた年を一歳とする戦前の数え方で、新年を迎えると一つ歳をとるという年齢の数え方です。
戦後「満年齢」という数え方が法律で定められ、一般的になりました。
七五三については、昔は数え年で行っていましたが、現在では、数え年・満年齢どちらで行っても良いとされています。
ご家族様のご都合やご事情でお祝いされる方もいらっしゃいます。
三歳祝い
三歳の祝いは「髪置」という儀式に由来し、赤ちゃんから幼児になったことを祝うものです。
三歳の七五三では、三つ身の着物を着ます。
(三つ身など着物の種類については【子どもの着物ちょこっと豆知識~お宮参り編~】でお話ししておりますので併せてお読みいただければ幸いです。)
背縫いのある三つ身の着物は、「もう赤ちゃんではありません!」というサインでもあります。
また、お宮参りの一つ身の着物の袖先に丸みをつけ、肩揚げ・腰揚げをして着用することもできます。
三歳の着物選びで大切なのは、着て窮屈でないこと、動きやすいことです。
着物を着るのが初めてのお子さまには、着ていて苦しくならないよう配慮することが必要です。
着物の色柄に合わせてお被布をご用意されますが、同色はもとより最近では、着物とお被布の色を変えてお選びされる方もいらっしゃいます。
また、兵児帯を結ぶことで、さらに可愛らしい装いとなります!!
綿入れの被布は防寒の役割も果たします。
お被布や草履バックなどの小物も合わせたお被布セットもございます!
女の子らしい赤やピンクが主流ですが、和モダンな柄行も人気です!
五歳祝い
五歳祝いは「袴着」と言われ、男児が初めて袴を着け、宮参りをする儀式でした。
福を招く末広(扇子)と邪気を払う守り刀をさしてお参りに行きます。
男児の場合、付属品が多くなるのでセットになっているものは便利ですよ!
五歳祝い着は四つ身となります。
以前、お宮参りで掛けた祝い着を五歳でも使えますか?というお問合せを頂いたことがございます。
成長の証として、一つ身から三つ身、三つ身から四つ身となり、成長とともに着物の種類も変わります。
そのため、小柄なお子さまでもお使いただくことはできません。
お子さまの成長はご家族様にとって喜ばしいことですよね♪
男児の着物には、鷹や兜など力強いものが多く描かれています。
そこには「子どもがたくましく育ちますように」や「将来立身出世しますように」などの願いが込められています。
七歳祝い
七歳祝いは「帯解」と言われ、四つ身か本裁ちの着物に帯を締めます。
七歳祝い着は主に小振袖で柄行は絵羽模様(模様が連なる)が多く着用されています。
帯は七歳用の祝帯を使います。
大人用の袋帯とは異なり、帯巾は狭く、丈も短くなっています。
ルーツが「帯解」である七歳の七五三では、帯が重要な役割を占めます。
袋帯の他に、かたちの整った結び帯(作り帯)もございます。
七歳祝い着では、三歳や五歳の祝い着に比べて必要な小物がたくさんあります。
参考までにご紹介しますね♪
*着物
七歳の祝い着は四つ身となります。
お子さまの体格に合わせて肩揚げをします。
古典文様から現代的な文様までさまざまな趣向を凝らしています。
*長襦袢
肩揚げ・腰上げをしてサイズ調整をします。
衿には刺繍の半衿を付け、チラリとより華やかにみせる効果がございます。
*子供用の袋帯または作り帯
華やかな柄が織られた格調の高い帯を締めます。
*帯揚げ
帯の形を整える帯枕の紐を隠すためと、コーディネートにアクセントを添えるアイテムです。
*帯締め
結んだ帯が緩まないよう固定する役割と装飾の役割を果たし、帯や帯揚げの色に合わせてコーディネートを楽しむ小物です。
*志古貴(しごき)
しごきは裾の長い打掛を外出時にたくし上げるために使った江戸時代の「抱え帯」が由来と言われています。
現在でも花嫁衣装や七五三の七歳衣装では帯の下部分に結んで飾ります。
しごきを結ぶと、一層華やかになります。
*筥迫(はこせこ)
筥迫は宮中の女性が胸元にさす小物入れでした。
蓋の内部には懐紙が入っており、この箱の上部に房のついた「びらかんざし」を挿します。
びらかんざしとは、周囲に円形の飾りを下げたかんざしで、ゆらゆらと揺れ胸元を華やかにしてくれます。
*扇子
先に向かって広がるかたちから「末広」とも呼ばれ、未来が末広がりに幸せになるよう長いが込められた縁起物です。
*草履バック
草履は七五三に限らず、和装の際の基本的な履物です。デザインの好みもあるかと思いますが、お子さまの履きやすさ・歩きやすさを優先されると良いかと思います。
七五三用のバックは小ぶりなので、実用性よりもコーディネートをより可愛く見せるためのアイテムです。
*かんざしや髪飾り
髪につけてヘアースタイルを華やかに仕上げるアイテムです。
その他、腰ひも(着物に縫いついていなければ2~3本)や伊達締め、帯板、帯枕、三重ゴム紐、肌着、足袋などが必要となります。
おわりに
着物を着るのは七五三のお祝いが初めて、というお子さまが多いかと思います。
初めての着物、それも礼装で外出するというのはかなり大変なことですよね。
お正月や雛まつりなどに着物を着る機会を作り、少しずつ着物に慣れておくのも大切です!
特に草履は嫌がるお子さまも多いかもしれません。
履きにくかったり、鼻緒が痛かったりすると、それだけで着物を着たくなくなるから…
お写真の時やお参りの時だけでも嫌がらずに履いてくれると助かりますね!
<!–p>詳しくは【七五三 三歳のお祝いをする際のちょっとしたコツ】をお読みくださいませ。</p–>
七五三のちょこっと豆知識いかがでしたか?
これからお祝いを考えていらっしゃる方に少しでも参考になれば嬉しいです!!
一人でも多く着物ファンが増えることを祈って・・・
最後までお読みいただきありがとうございました。
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