【着物・柄】着物の柄に込められた意味
こんにちは、あまのやの古島です。
みなさまは着物を選ぶ時なにを重視されますか?
最初は着てみたい色を選んで、その後に柄を選ばれる感じでしょうか。
その逆もあるかもしれません。
着物は「色」と「柄」で選びますよね。
そして、「色」と同じくらいイメージを左右するのが「柄」です。
着物の柄には、それぞれに意味があるのをご存じですか??
以前ちょこっと豆知識で、ひな祭り・端午の節句に関する着物の柄や文様について一部ご紹介させていただきましたが、今回はその着物の柄を中心にお話ししてまいろうと思います。
その時の記事がこちらです。
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はじめに
着物は着る人はもちろん、周りにいる方も華やかにみせてくれます。
柄(文様)によって個性や季節感を楽しめるのも着物の魅力ですよね!
着物や帯の柄には、様々な意味や歴史が込められています。
着る人の幸せを願う意味も表現されていたりするのです。
着物の柄は、
・植物・動物文様
・自然・風景文様
・器物文様
・幾何学文様
などに分けられます。
それぞれどのような意味があるのか、代表的な柄をいくつかご紹介してまいります。
植物・動物文様
日本では四季折々の風景を楽しむことができます。
色々な動植物が存在し、日本伝統の模様・四季の美を表現する目的で着物に使われています。
松竹梅
「松竹梅」はその名の通りおめでたい意味のある松・竹・梅の3つの植物を合わせた柄です。
【松】は冬の寒さに耐えて緑を保ち非常に強い生命力があります。樹齢の長さから吉祥の木とされています。
【竹】は冬の間も変わらず緑を保ち成長著しくすくすくと伸びます。
【梅】は寒中のなか最初に花を咲かせます。
これらのことから、この組み合わせは昔から「忍耐」「生命」「長寿」を連想させ非常におめでたい文様です。
葡萄
葡萄文は3000年以上前から使われており、葡萄はたくさんの実をつけることから豊穣、蔦(つた)は子孫繁栄を表します。
また葡萄唐草文様においては葡萄の蔦を唐草文様の主軸として描いた柄で、ペルシャなどの西方に由来する柄で、中国を経由して日本に伝わりました。
葡萄文同様、豊穣を表す吉祥文様となります。(吉祥文様とは縁起の良い、おめでたい席に身に付ける格式の高い柄のことです)
葡萄が写実的かつ単独で描かれている場合は秋に着るのがオススメです。
デザイン化されている場合は通年着ることができます。
菊
平安時代、九月九日を重陽の節句(菊の節句)として長命を祈る風習があり、菊文様は邪気を祓う長命の象徴とされていました。
後鳥羽上皇が菊をこよなく愛されたことから十六弁の菊が皇室の御紋章へと発展しました。
菊の葉についた露を飲むと不老長寿になるとの言い伝えから吉祥柄となりました。
桜
桜は日本の国花として古くから愛されてきた代表的な春の花です。
花見はもともと桜の下で五穀豊穣を願って行う行事でした。
桜は縁起の良い物事の始まりを意味するとされています。
桜柄は春に身に付ける着物や帯にピッタリですよね。
ただし写実的に表された桜は「春先」までにされると良いです。
逆にデフォルメして紋様化された「桜紋」や「桜花紋」などは一年中いつ着ても大丈夫です。
牡丹
姿の美しさと豪華さから百花の王、百花の長としてさまざまに文様化された花です。
花びらが大きくて多いので、高貴さや富貴さ、美しさを意味しています。
良い前兆の顕れとして吉祥文様とされています。
鶴
「鶴は千年」といわれるように長寿の象徴とされ古くから用いられています。
また鶴はつがいになると生涯相手を変えないと言われています。
夫婦仲良く一生を添い遂げることから夫婦円満の象徴でもあります。
姿が美しいので品位ある吉祥文様として、婚礼衣装の定番の柄になっています。
鴛鴦(おしどり)
姿と羽が美しく、雌雄が仲睦まじい鳥の文様化です。
現在でも「おしどり夫婦」という言葉が使われていますよね。
鴛鴦(おしどり)の柄は2羽にこだわらず1羽で描かれることもあります。
季節もこだわらない柄なため、一年中着用できます。
花嫁衣裳、礼・正装のきものや帯によく使われています。
自然・風景文様
気象の変化の豊かな日本では、波や雲、雪や霞などの自然現象までも美化して文様として表現しています。
自然・風景文様は周囲の文様を活かし、柄ゆきに変化と格調を加える役割もあります。
青海波(せいかいは)
波紋の一種。同心円を互い違いに重ね、同心円の一部が扇形状に重なり合った文様です。
穏やかな波がどこまでも続いている様子を文様化した青海波は「未来永劫(えいごう:非常に長い年月)平穏に」という意味が込められています。
雪輪
雪の結晶に見られる六角形の輪郭を円形に描いた線文様。
中に文様をいれたり、雪輪を区切りに用いたりもします。
着物や帯など幅広く用いられます。
雪輪文様は吉祥文でありながら、はかなさ、謙虚さをあわせ持つ文様ですので、季節関係なく御召いただけます。
雲取り
雲の中に多様な文様を詰めて表したものです。
形を様々に変えながら、生まれては消える雲や霞は、古代中国の「不老長寿」を求める神秘思想から縁起の良い吉祥文様として伝わりました。
場を区切る方法としてもよく使われ、着物の華やかな柄行に立体感やめりはりをつけてくれます。
器物文様
身の周りで使われる生活用具や道具類が元になった文様です。
檜扇など雅やかな王朝風のものは礼装や晴れ着に、生活に密着したものは、カジュアルな洒落着に多くみられます。
檜扇(ひおうぎ)
平安貴族が装身具として使っていた扇のことです。
檜の薄板の上部を絹糸で綴じられており、左右に長い紐飾りが施されています。
扇慶事の染織品にふさわしい格調があります。
扇は末広がりの形をしていることで、未来への展望が明るいという意味があります。
礼装として着る着物には扇をセットで持つことが多いです。
手毬(てまり)
手毬は女の子の遊び道具であったことから、女性らしさ・可愛らしさを象徴する模様です。
「子どもが丸々と育つように」「何事も丸くおさまるように」という意味が込められています。
魔除けとしても飾られ、子どもや女性の着物や染め帯に見られます。
宝尽くし
「打出の小槌(うちでのこづち)」「隠れ蓑(かくれみの)」「金嚢(きんのう)」「如意宝珠(にょいほうじゅ)」「分銅(ぶんどう)」など。
宝物を集めた中国の文様が日本風にアレンジされたものです。
構成要素は多数で、すべて揃わなくても宝尽くしとよびます。
福徳を呼ぶ代表的な吉祥文様です。
束ね熨斗(たばねのし)
熨斗(のし)とは、熨斗鮑(のしあわび)の略称で、アワビの肉を薄く長く剥ぎ、引き伸ばして乾かしたもののことで、江戸時代以降、祝儀の進物や引き出物に添えられたのが始まりとされています。
これを細長く帯状にし、数本を束ねたものを「束ね熨斗」としてよく表現されています。
たくさんの熨斗を束ねることから、様々なおめでたい意味を含む吉祥文様となります。
幾何学文様
直線や曲線、点などで構成される文様です。
三角形、方形、菱形、など分かりやすく極端な図柄が特徴です。
麻の葉
麻の葉をモチーフとして正六角形と結び付けた幾何学文様です。
もともと魔除けの意味がある三角形が集まってできた六角形は、より強力な魔除けの力があると考えられてきました。
また、麻の丈夫さ・成長の早さにあやかって子どもの健やかな成長を願い、赤ちゃんの産着などにも多く用いられています。
鱗(うろこ)
同じ大きさの三角形が整然と並ぶ「鱗(うろこ)」。
地と三角形が交互に入れ替わって構成されている文様です。
日本では蛇の鱗がイメージされ、脱皮の様子から「再生」「厄除け」の意味が込められています。
亀甲(きっこう)
亀の甲羅に見立てた六角形を並べた文様です。
亀が長寿の象徴であることから、亀甲も長寿を意味する吉祥柄です。
市松(いちまつ)
色の違う正方形を並べた格子模様で、その見た目から「石畳(石畳)模様」とも呼ばれています。
その柄が途切れることなく続いていくことから、「繁栄」の意味が込められています。
矢絣(やがすり)
一度飛んでいけば戻ってこない矢の羽根をモチーフにした文様です。
江戸時代に「嫁入り道具に矢絣の着物を持たせると出戻ってこない」と言われ、縁起物とされています。
七宝(しっぽう)
七宝とは仏教の言葉で、金(こん)・銀(ごん)・瑠璃(るり)・玻璃(はり)・硨磲(しゃこ)・赤珠(しゃくしゅ)・瑪瑙(めのう)の七つの宝物を意味します。
まさしく富裕、繁栄、地位の高貴さの象徴です。
同じ大きさの円の並列の上に円の並列を四分の一ずつ重ねることで光を表す菱のような形と花びらのような形の組み合わせが見える仕掛けになっています。
円形が永遠に連鎖し繋がる七宝は、「円満」・「調和」・「ご縁」などの意味が込められた吉祥柄です。
おわりに
着物の柄についてご紹介してまいりましたが、いかがでしたか?
まだまだご紹介できていない柄もございますので、そちらは追々お伝えしていければと思っております。
着物の柄には、季節感を楽しむ一方で、着用時期に注意が必要な場合もあります。
写実的に描かれている動植物は、半月からひと月先の季節を先取りするのが粋だと考えられています。
抽象的に描かれた動植物や季節を問わない柄は、どの季節に着用しても大丈夫です!
着物の柄の意味を知ることで、着物の選び方も変わるかもしれませんね♪
着物ライフをより楽しくお過ごしくださいませ。
ただいま、あまのやでは皆さまに安心してご来店していただけますように、来店予約をオススメしております。
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